COMPUTER_PUNCH_CARD_SELECTED_ARTWORKS_COMPUTER:_LISTING_PAPER_EDITION by Antony Cairns

ロンドンを拠点とするイギリス人フォトグラファー、アントニー・ケアンズ(Antony Cairns)の作品集。アナログ写真と様々な印刷・複製技術との間の領域において、ページや画面、その他の支持体上で写真のイメージを生かす方法を10年以上にわたって探求し続けてきた作者。その作品アーカイブに含まれるオリジナルの素材イメージは、全て現代の都市風景をテーマにしている。夜間にその場の光だけを使って撮影されたモノクロ写真は、判読困難なものや完全に抽象的な仕上がりになっているものも多い。手作業で印刷・製本作品集、アルミニウムに直接印刷した銀塩写真、あるいはコロタイプのような伝統的な技術を用いたプリントや、「Kindle」など第一世代の電子書籍端末の画面に使われていた電子インクの使用など、今まで手がけてきた作品群は、ある意味、複製と伝達の技術をテーマとした作者自身の実験の出発点に過ぎなかったともいえる。

こうした実践の繰り返しから生まれた本作は、新作シリーズの中でも特に複雑なイメージである72作を収録。ロンドンや東京など大都市で夜間に撮影されたモノクロのイメージという点では同じオリジナル写真を素材としつつも、今回はサイズ、色の組み合わせ、複雑さにおいて様々な支持体を使用したことで、最終的なイメージに色と偶然性のある要素が加味された。このシリーズの個々のイメージは、使用済みの「IBMコンピューター」用パンチカードを碁盤の目状に並べ、印刷したものをボードにピンで固定して、一つのイメージが完成するように作られている。完成形の作品を構成する83 x 187 mmの小さなパンチカードは、穴の位置や有無、印刷されたバイナリコードにより情報を記録する記録媒体であり、かつて初期のコンピューターにプログラムを読み込ませるために1970年代に多用されていた。本書で使われているカードにも、こうしたコードや穴が実際に残っている。

EIタブレットや電子インクを使ったこれまでのプロジェクトと同様に、これらの作品も、時代遅れだったり、今はもう使われなくなったテクノロジーについて美的・実用的な観点から考察するものである。ここで作者は、オリジナルのイメージに足されることによって唯一無二の抽象的なイメージを生み出す特定の色やカードの色の組み合わせだけではなく、印刷された数字とカードをピンで留めてイメージを作り出すプロセスという、完全に人工的な、人の手が加えられたやり方でデジタルテクノロジーの本質を再現するというやり方に着目している。このアイデアを基に生み出された、24枚のカードを組み合わせたシンプルな構成から、最大330枚のカードを使った大規模な作品までサイズや規模も様々な作品を収めた本書は、完成形のイメージ1つ1つの制作過程を再現している。

複製されたイメージは、カスタムメイドのオリジナルの連続的に繋がった用紙にインクジェットプリンターで印刷。またページを切り離し、イメージ4点または4ページからなる18点のパノラマ作品を簡単に作ることができるようにデザインされている。

INSTALLATION / EXHIBITION:

ACCPCCSE - Antony Cairns Computer Punch Cards, Catalogues and Special Editions
会期:2023年3月18日(土)- 4月1日(土) ※日曜・月曜定休
時間:12:00-18:00
開催場所:SKWAT/twelvebooks
詳細
※本展は終了いたしました

by Antony Cairns

REGULAR PRICE ¥41,800  (tax incl.)

softcover
4 pages spreads (folded into 76 pages)
280 x 242 mm
color, black and white
2021

published by MÖREL