BEHIND THE SCENES by Sofia Malamute
アルゼンチン出身のフォトグラファーであり映像作家のソフィア・マラミュート(Sofia Malamute)による作品集。2013年から2019年の間に撮影された、ファッションの裏側における人生を綴ったフォト・ダイアリーである。版元である「IDEA」が初めて作者に出会ったのは、モデルのミカ・アルガナラズ(Mica Arganaraz)、ポール・ハメリン(Paul Hameline)、「ヴェトモン(VETEMENTS)」を立ち上げた一人であり「バレンシアガ(Balenciaga)」のクリエイティブ・ディレクターを務めるデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)、スタイリストでありコンサルタントのロッタ・ヴォルコヴァ(Lotta Volkova)、フォトグラファーのピエール=アンジュ・カルロッティ(Pierre-Ange Carlotti)、モデルのキキ・ウィレムス(Kiki Willems)と共に、「ヴェトモン」の初作品集をパリで発売した時であった。この刊行発表会は一つのイベントに過ぎず、作者は他にも多くのショーやパーティー、そしてその合間の待ち時間や空き時間なども目撃し、写真に収めていた。
本書には、作者と同じくアルゼンチン人フォトグラファー、映像作家であるセバスチャン・ファエナ(Sebastián Faena)による序文を掲載しており、ファエナは我々の知るところのない、語るべき価値のある素晴らしい紹介文を書き下ろし、全てを完璧に解説している。
この作品が撮られた期間は、「インスタグラム」の10年であった。それが全てであり、誰も写真をプリントしなくなった。彷徨い、失い、アーカイブと化した。この時代を証明するものは何も無く、この10年を振り返り、「モノ」として考えることができた。本書は、今の時代より前の10年間を描いたビジュアル・ヒストリーである。我々は今、ものすごいスピードで動き、数多の写真を一日に何度も見返している。「インスタグラム」のフィードをスクロールで2013年まで戻るには、1年振り返るだけで1時間はかかるだろう。まるで古代の巻物のように、全ては遠い昔となってしまったのだ。
作者は本作についてこう語る。「いつもカメラを持ち歩き、自分の人生を記録してきました。これはB-ROLL(サブカット)のようなもので、私の『個人的な作品』と呼んでいました。どの写真もオートで撮影しています。『インスタグラム』が流行った頃、とても懸命なアドバイスを受け、インターネット上で公開しないように自分の写真を手元に保管していました。私たちがイメージを使って交流を始めた時代の始まりに、人目に触れることのないように。当時それは一つの瞬間であり、今は思い出であり、多くの歴史の一部となっているのです。」