M STREET by Sylvia Snowden

アフリカ系アメリカ人画家、シルヴィア・スノーデン(Sylvia Snowden)の作品集。本書は、2021年にニューヨークの「フランクリン・パラッシュ・ギャラリー(Franklin Parrasch Gallery)」とロサンゼルスの「パラッシュ・ハイネン・ギャラリー(Parrasch Heijnen Gallery)」で同時開催された展覧会に伴い刊行された。

本シリーズは、作者が1970年代後半に移り住んだワシントンのショー地区にある「Mストリート」において、作者が日々の生活の中で身近に感じていた人々のイメージに焦点を当てた作品群である。70年代半ば、ジェントリフィケーションやそれに伴う移住が進む中で、多くが失業や住宅を失うといった一時的な不安定を経験している近所の人々の生活に危機感を覚えた作者は、この人々が持つエネルギーに反応して本作を制作した。1988年、アメリカ人美術評論家のアリス・スーソン(Alice Thorson)は、シカゴを拠点とするアート批評誌『New Art Examiner』に、今では重要なエッセイと見なされている「
Sylvia Snowden: Engaging Expressionism」を寄稿した。その中でスーソンは、「描く対象と同一であるという感覚が、作者の作品に類稀な説得力を与える。これほどまでに人間の心を深く覗き込み、そこにある秘密を明らかにすることに優れた画家は、ほとんどいない」と述べた。作者は、「M Street」の制作にあたり、描く人物の印象や個性に呼応するように描き、その存在そのものを尊重した。被写体の苦悩や生き抜く力の中に見られる純粋な高貴さは、作者の芸術が讃える人間が持った繊細な美しさ、そして力強さを物語る。

本書には、展覧会で展示された全作品を収録。また、アイルランド人キュレーターのギャビン・デラハンティ(Gavin Delahunty)とヴァンダービルト大学(Vanderbilt University)で助教授を務めるレベッカ・ヴァンディバー(Rebecca VanDiver)が書き下ろしエッセイ、作者とアメリカ人画家のナサニエル・メリー・クイン(Nathaniel Mary Quinn)による対話の様子を収録している。

by Sylvia Snowden

REGULAR PRICE ¥9,900  (tax incl.)

hardcover
108 pages
230 x 275 mm
color
2022

published by AMERICAN ART CATALOGUES