MONOGRAM 10: EVA ROEFS, AMSTERDAM by Eva Roefs

ベルギー発の月刊誌『MONOGRAM』の第10号。写真出版の新しいアイデアのプラットフォームとして、2022年に出版社「ART PAPER EDITIONS」を主宰するベルギー人デザイナー、ユルゲン・マエルフェイ（Jurgen Maelfeyt）と「MONOGRAM BOOKS」のアシュリー・ヘルヴィー（Ashley Helvey）によって立ち上げられた。

本号『AMSTERDAM』では、オランダを拠点に活動するフォトグラファー、エヴァ・ルーフス（Eva Roefs）が描く、オランダの首都に住む若者たちのビジュアル・スタディを収録する。ここで紹介されているポートレイトは、街すがら作者が声をかけ、風俗店やストリップクラブが集まる「飾り窓地区（Red Light District）」にある作者のスタジオで撮影したものである。しかし、クローズアップされ分析するように撮られた写真は、被写体となった人物を都市から遠ざけ、結果として、人としての経験に光が当たるソリッドなモノクロ写真のシリーズに仕上げられている。カメラをじっと見つめる肖像によって、作者は風景の写らない「街のポートレイト」を作り出している。アムステルダムを定義付けるのは被写体の表現力であり、それは真っ白な背景の前に佇み、写真という媒体や作者と関わることで生み出される。それぞれのポートレイトは丁寧に制作されていることを感じさせ、暗室で輝き出すかのような現像プロセスをもって、作者の手によるプリントで得られる豊かなモノトーンの色調と深みが際立つ画像をもたらしている。