アメリカ人アーティスト、サラ・ジー（Sarah Sze）の作品集。ジャン・ヌーヴェルが手がけたカルティエ現代美術財団で1999年に開催された初個展から20年以上を経て、象徴的な同じ場所で、2020年10月から2021年3月にかけて作者は再び展覧会を開催。本書はその2つの新しい彫刻インスタレーションの展示に伴い刊行された一冊。カルティエ財団の依頼を受けて制作されたこの大規模な作品は、雑誌に印刷されたもの、ウェブからの情報、宇宙から傍受したもの、情報通信網など、現代に溢れるさまざまなイメージの拡散が、我々の記憶、時間、物理的な物体との関係を根本的に変えてしまうことについて探求している。絵画、インスタレーション、建築の境界線に挑戦する作品で国際的に知られている作者は、ペットボトルや発泡スチロール、薬など、日常的に手に入る量産されたありふれたものを素材とする。展示空間の特性を意識し、それらの素材と画像、ビデオを組み立て、繊細で複雑な彫刻的かつサイトスペシフィックなインスタレーションを制作する。フランスの哲学者、人類学者、社会学者であるブルーノ・ラトゥール（Bruno Latour）のエッセイ、作者とジャン・ヌーヴェルの対談、そして本展のキュレーターであるリアン・サクラモーン（Leanne Sacramone）によるテキストも収録。グラフィックデザイナーのソニア・ダヤコヴァ（Sonya Dyakova）が主宰する「アトリエ・ダヤコヴァ（Atelier Dyakova）」が装丁を担当、全48種類の表紙のバリエーションが用意されており、制作過程や参考資料も含め、今回展示された2作品をより深く読み解くことができる一冊となっている。

※表紙は48種類あるため、お届けする作品集のカバーは本ページに掲載されている画像と異なります。

インタビュー ソニア・ダヤコヴァ　『Donald Judd, Artworks: 1970–1994』における制作プロセスとその理想形