アメリカ人作家、アーティストのコンスタンス・ディヤング（Constance DeJong）の作品集。作者の多種多様な文章をまとめた初のアンソロジー。1980年代から現代にいたるまで、絶版のものや、未公開のフィクション作品、そして、ニューメディア・スカルプチャー、音響作品、映像作品、パブリック・アートのコミッションから生まれたテキストなど、18点の作品を収録。

1970年代と80年代ニューヨークのダウンタウンにおける文筆とパフォーマンスのシーンにて影響力を持った人物として、作者は過去40年間にわたりその作品に時間と言語を媒体として組み込み、物語と文学の分野の可能性を発展させてきた。1982年の散文体『I.T.I.L.O.E.』の原稿などの最初期の作品から、2017年から2018年にかけて取り組んだデジタル・プロジェクト『Nightwriters』まで、本書には作者による様々な実験的テキストが集められている。2013年の出版物でありパフォーマンス作品でもある『SpeakChamber』、1988年にアーティストのトニー・オースラー（Tony Oursler）とのコラボレーションのもとに制作されたテレビとパフォーマーのデュエット作品『Relatives』の台本なども含まれる。再構成されたヴィンテージ・ラジオのためのテキストや、タイムズスクエアの電子看板のコミッションのアフォリズム、テムズ川とハドソン川沿いにもともと設置されていた音響作品の書き起こしなど、初公開の作品も加わっている。

これらをひとつにまとめることで、ビジュアル・アートやパフォーマンス・アートにおける言語の限界を定義し、その限界を推し広げた作者の役割に光が当てられる。作者は言語を探求し続けることによって種々の分野の境界線を曖昧にし、また、その作品は文学界において長きにわたる人気を獲得している。

余談ではあるが、1970年代後半、作者は長く続くことはなかったその「Standard Editions」社から『Modern Love』という小説を自費出版し、絶賛された。『Modern Love』の初出版から40周年を記念し、「Primary Information」社と「Ugly Duckling Presse」社からファクシミリ版として同小説が改めて刊行された。2017年の発売から1万冊以上もの売り上げを記録している。