ハンガリー人フォトグラファー、アンドレ・ケルテスの作品集。ポートレート、パリの風景、スタジオ、シンプルな静物など、知られているすべての作品をポストカードサイズにプリントした写真群をまとめた1冊。掲載されている作品点数は250点以上にものぼる。作者は、緻密に作られた構図のイメージを、安価でありながら豪華なポストカード・プリントとしてストックし、カフェのテーブルで広げて友人たちに見せたり、離れて暮らす家族に送っていたという。コレクターからも珍重されたこのポストカードは、数十年にわたり作家の構図や親密なスケールの絵作りに影響を与え続けていた。

本書には、物質性、亡命、コミュニケーションといったテーマ、ボヘミアン的な社交界、芸術写真のアイデンティティの変化などについて新たな光を当てたエッセイも収録。シカゴ美術館で開催された展覧会に伴い刊行された。