アメリカ人デザイナー、アーティスト、ミーシャ・カーン（Misha Kahn）の作品集。本書は、作者の過去10年間の作品を振り返る一冊。水中のモザイク彫刻や金属くずからなるシェーズ・ロング（長椅子）、宝石をちりばめた手首の迷路風ボールゲームにまで及ぶ膨大な作品を表現するのに、ギラギラ、グラグラ、もじゃもじゃ、ウィッティーなど、適切な形容詞はない。アーティストでもデザイナーでもない作者は、分類されることで自分を枠にはめ、新鮮な新境地を閉ざしてしまう恐れがあるため、分類化を強く避けている。新しい素材や技術的な挑戦に対する尽きることのない情熱と、特異な発想や美学によって、作者は同世代のクリエイターにおいて先駆的存在である。

本書は『ASSEMBLAGE 6, UNLEARNING』に続く、ニューヨークのギャラリー「Friedman Benda」と　apartamento の2回目となるコラボレーションであり、作者にとっては初の作品集である。本書収録のスケッチ、制作過程の写真、完成作品、展示風景写真は、カナダ人編集者、ニック・ハラミス（Nick Haramis）、ベルギー人ファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン（Dries Van Noten）、アメリカ人アーティスト、ワン・シュイ（WangShui）、アメリカ人キュレーター、ケリー・リグス（Kellie Riggs）、アメリカ人ファッションデザイナー、トッド・オールダム（Todd Oldham）、アメリカ人キュレーター兼デザイナー、スー・ウー（Su Wu）といったクリエイティブ業界の著名人6人と、ネイルサロンや裏庭、またハイキング中に実施された対談によって文脈化されている。また、序文ではアメリカ人キュレーター兼作家のグレン・アダムソン（Glenn Adamson）が作者のこれまでの活動を振り返り、作者自身が本書を通じて自らの言葉や作品に手書きで注釈を付け加えている。