アメリカ「MoMA（ニューヨーク近代美術館）」やイギリス「THE SAATCHI GALLERY（サーチ・ギャラリー）」での展示など、アメリカのみならずヨーロッパでも活躍するアメリカ人アーティスト、ダニエル・ゴードン（Daniel Gordon）の作品集。シンプルな植物をモチーフにしたものから、より精巧に描かれた作品まで、多様な6つのポップアップ状の作品によって構成されている一冊。インターネット上で人気のある特定のモチーフ、中でも観葉植物に興味を持ったことをきっかけに、作者はインターネット上から集めたイメージをプリントアウト、切り抜き、コラージュし、再構成することで彫刻的で奇抜な「静物画」を制作。現実を見せるために写真を用いるのではなく、写真を用いて物理的にレイヤーを組み立て、新たなものとして表現しようとした。

「継ぎ目や障害、制限がなければ、私のプロジェクトはまったく違ったものになっていたでしょう」と作者は語り、結果的に自然さと不自然さを湛えた作品が完成した。その作品群は、デジタルとアナログの像が生まれるそれぞれのプロセス、そして美術的引用における「ハイ」と「ロー」との完璧な融合であり、彫刻、写真、絵画、切り絵として世に理解されているものをあえて複雑化することを目指す。本作は、彫刻作品をポップアップ（飛び出す）・パフォーマンスとして見せ、その立ち上がる動きでアニメーション化することにより、本そのものをアートピースとして成り立たせている。