アメリカ人アーティスト、バリー・マッギー（Barry McGee）の作品集。本書は、国際的に高く評価されているマルチメディア・アーティストである作者の写真作品を収集した初のモノグラフである。

作品としては絵画やドローイング、インスタレーションの独創的なグラフィックの感性で最もよく知られているが、作者の写真の用い方もまた、自身の芸術におけるヴィジョンの重要な要素である。いつなんどき、世界中どこであろうと、その時手にしているカメラで捉えられたイメージは、直感的で、カジュアルで、親密で、無秩序である。その作品には幾何学的な図形や、枠入りのドローイングや絵画の群れ、特徴的なキャラクター、そして空ボトルやサーフボード、壊れた乗り物などのファウンド・オブジェクトが大胆に使用される。代表的なマルチ・エレメント作品に組み込まれていたり、展覧会の折に出版される無数のファンジンやアーティスト・ブックに印刷されていたりと、写真は作者の制作に浸透している。本書はそのプロセスに対するユニークな解釈をもたらし、この時代における最も雑多かつ革新的なアートの偉業を成すにあたって作者が吸収した莫大な視覚情報の量を証明する一冊である。

テキストは、フォトグラファーのアリ・マルコポロス（Ari Marcopoulos）、サンフランシスコ近代美術館名誉キュレーターであるサンドラ・フィリップス（Sandra Phillips）、フォトグラファーのサンディ・キム（Sandy Kim）が寄稿する。