ARCHITECTURE FROM BELOW: AN ANTHOLOGY by Sérgio Ferro

フランス系ブラジル人画家、理論家、建築家であるセルジオ・フェロ(Sérgio Ferro)の作品集。

作者にとって、建築物を下(below)から見るということは、建設地、そして建築作業員たちを、建築研究の中心に据えるということである。作者は、新しいトレンドやビッグネームではなく、「頭から足の先までを、高潔な理想から足元の泥までを一目で見られるような」アプローチを追い求めている。建築史と建築論において、建設のプロセスが取り上げられることはほとんどない。建設労働が執拗に無視され軽んじられてきたことはただ見落とされていたわけではなく、労働を価値あるものとして認めず、資本の支配権を必須のものとみせかけ、建設地の「上」から「覆い被さる」ようにふるまう専門的職業の立場を守るものとして、資本主義的発展の構造的必然なのだと作者は論じている。

本書では、1967年から2019年にかけて執筆された10点のエッセイで、マルクスから現代の作家まで広範かつ重要な議論と共に建築と向き合う作者の活力あふれる思考を紹介する。ストラスブールからドバイ、ブラジリアまで、多種多様な歴史的・地理学的文脈における実際の事例に基づき、資本主義と生産の関係性による建築の変化、絵画や彫刻といった芸術にまつわる活動との繋がりについて暴く。

本書は作者による初の英語版エッセイ集であり、建築と都市研究を専門とするシルケ・カップ(Silke Kapp)と、建築における批評理論、リサーチ方法論、都市・地域計画を専門とするマリアナ・モウラ(Mariana Moura)が編集を手がけ、翻訳をキュレーターで翻訳家、通訳であり文化政策を専門とするエレン・ヘイワード(Ellen Heyward)と、建築や地理、構造における空間政策を専門し、映像作家、ジャーナリスト、翻訳家として活動するアナ・ナオミ・デ・ソウザ(Ana Naomi de Sousa)が務めた。

本書は、「MACK」から刊行される作者の三部作のうちのの第一作であり、建築家のケイティ・ロイド・トーマス(Katie Lloyd Thomas)と建築と都市研究を専門とするジョアン・マルコス・ロペス(João Marcos Lopes)が主導する「TF/TK project」を通じて英訳された。

by Sérgio Ferro

REGULAR PRICE ¥7,040  (tax incl.)

hardcover
320 pages
165 x 225 mm
black and white
2024

published by MACK