ART APPLIED by Petra Blaisse
オランダ人デザイナー、 ペトラ・ブレーゼ (Petra Blaisse)の作品集。
作者と自身のスタジオ「Inside Outside」による全作品を振り返り、30年以上にわたるインテリアや展覧会、景観デザインといった複雑多彩な作品の姿を紹介する一冊。「Inside Outside」は変化なき建物だけ制作するのではなく、広大な都市景観から柔らかなテキスタイルの壁によって特徴づけられた私的な家庭内空間にいたるまで、多種多様な規模で環境そのものをデザインしてきた。その結果として生まれた空間は、形式的な分類を拒むものである。総合的な概観書として、本書には最近落成した台湾の「台北パフォーミングアーツセンター(Taipei Performing Arts Center)」、オランダ・ロッテルダムの「クンストハル美術館(Kunsthal Rotterdam)」、10ヘクタール近い面積を持つイタリア・ミラノの公園「ビブリオテカ・デッリ・アルベリ(Biblioteca degli Alberi)」、半透明なカーテンを用いた設計で巨大な工場を転用したオランダ・ティルブルフの「ロックハル図書館(LocHal Library)」など、数々の名声を博したプロジェクトが収められている。また、実現することのなかったプロジェクトもここで明かし、1980年代後半からオランダ出身の建築家レム・コールハースらによって1975年に設立された建築設計事務所「OMA(Office for Metropolitan Architecture)」と共に生み出された豊かな作品群を含め、数多のコラボレーション作品についても探る。
鋭敏な主題をもって著されたエッセイ・コレクションを皮切りに、1985年から現在にいたるまでのプロジェクトの詳細なる記録に加え、作者本人やパートナーであるヤナ・クレポン(Jana Crepon)とアウラ・ルス・メリス(Aura Luz Melis)とそのチームのメンバーによる個人的なエピソードも届けている。「Inside Outside」の多様な手法や独特な表現の形を本書そのものに取り入れ、900ページ近くにわたって、漫画的な制作マニュアル、テクニカルなドローイング、コラージュ、写真、科学的な植物研究などの広範な視覚言語が反映されている。介入と居住に対し無数の手段を提案し、建造環境に新たな目を向けるべく、我々にたゆまぬ努力を続ける手助けをしてくれる一冊である。
フレディ・フィッシュリ(Fredi Fischli)とニールス・オルセン(Niels Olsen)が編集と序文を務め、ペネロピ・カーティス(Penelope Curtis)、クリストフ・ジロー(Christophe Girot)、レム・コールハース(Rem Koolhaas)、シャーロット・マター(Charlotte Matter)、ファトゥマ・アル・セラウィ(Fatma Al Sehlawi)、ジャック・セルフ(Jack Self)、ローラン・スタルダー(Laurent Stalder)、ヘレン・トーマス(Helen Thomas)、フィリップ・ウルスプラング(Philip Ursprung)による書き下ろしのテキストを収録。デザインはテオ・シフェリ(Teo Schifferli)が手がけた。