インドの建築スタジオ「スタジオ・ムンバイ（Studio Mumbai）」の創設者である建築家ビジョイ・ジェイン（Bijoy Jain）の作品集。2023年12月から2024年4月にかけて、作者が「カルティエ現代美術財団（Fondation Cartier pour l'art contemporain）」のために制作した展覧会「Breath of an Architect（建築家の息吹）」の開催に伴い刊行された。

1965年にムンバイに生まれた作者は芸術、建築、素材の繋がりを自身のスタジオで探究している。同財団のため、作者はフランス人建築家のジャン・ヌーヴェル（Jean Nouvel）の象徴的な建築と対話し、幻想や瞑想の為の空間を提供する、呼吸のリズムに着想を得た展覧会を企画した。人と自然、光と影、竹、煉瓦と石を融合させ、我々を創造の真髄へと誘っていく瞑想的景観を形づくる。彫刻、オブジェ、家具は、財団のアーティスティック・マネージング・ディレクターであるエルベ・シャンデス（Hervé Chandès）の提案ににより作者が招いた北京に拠点を置く中国人画家フー・リウ（Hu Liu）とトルコ系デンマーク人陶芸家のアレヴ・エブジヤ（Alev Ebüzziya）の美術作品と互いに呼応しあっている。

展覧会にあわせて刊行された本書により、読者は作者の美学と哲学を見出すこととなる。展示のコンセプトに加え、この豪華な大型本はドローイング、スタジオと制作中の作品の写真に焦点をあてている。

本書の装丁は、グラフィックデザイナーである佐藤卓が手がける。