IMELDIFIC by Giovanna Silva
イタリア人フォトグラファー、ジョヴァンナ・シルヴァ(Giovanna Silva)の作品集。
イメルダ・ロムアルデス・マルコス(Imelda Romualdez Marcos)はフィリピン共和国の第10代大統領のフェルディナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)の妻、つまりファーストレディ(大統領夫人)であり、夫の大統領就任とともに政界に進出した。21年間大統領夫人を務め、その間、夫とともに数十億ドルもの財産を不法に蓄えていたと広く信じられている。彼女の個人資産は、1979年には240億ドルであると見積もられていたが、現在では少なくとも300億ドルにものぼると考えられている。
1954年にイメルダはフェルディナンドと結婚し、1965年にファーストレディとなった。在任中、イメルダは300足もの靴を所有していたという。ただ可能だからという理由だけでキリンも輸入した。公的資金を使い、これ見よがしに建築プロジェクトを始める彼女の癖は、俗に「イメルディフィック(Imeldific)」と呼ばれるようになった。
1966年、フェルディナンドは行政命令(EO)第60号を発し、「フィリピン文化センター(Cultural Center of the Philippines / CCP)」を設立、その理事会を任じた。理事会はイメルダを理事長に選出し、同センターのための資金の交渉と管理の法的権限を彼女に付与した。同センターは、イメルダの「巨大建築コンプレックス(※註)」の中央的シンボルであるととらえられている。その巨大なモダニズム建築のコンクリート構造は、フィリピンの建築家レアンドロ・V・ロクシン(Leandro Locsin)の設計によって建てられている。イメルダは、同センターを「フィリピン人の魂の聖堂」であると言い放った。
作者がこの国の「遺産」を調べてまとめた本書は、建築と歴史との間の強固な関係を描いている。