20世紀のモダニズム建築を代表するドイツ出身の建築家、ミース・ファン・デル・ローエ（Mies van der Rohe）の作品集。1938年、ドイツからアメリカに亡命した作者はすでに50歳を過ぎており、建築界の巨匠の一人として認められていた。本書は、作者の北米における重要な活動を紹介しており、カナダ人建築家であり作者が1959年に設計した「シーグラム・ビルディング（Seagram Building）」の初代シーグラム社社長であるフィリップ・ブロンフマン（Philip Bronfman）の娘、フィリス・ランバート（Phyllis Lambert）による批評的な作品解釈や、現代アーティストによる解釈、そして作者自身の言葉やドローイングを収録している。

本書は、作者のアイデアの本質を捉えようとする一冊である。それは、空間と構造の探求、「都会のジャングル」に明快さをもたらそうとした取り組み、そして建築に動きを作り出す類まれな能力のことある。作者は、新しい建築は「ただ精神の中核から現れ出でる」、「精神が決定する空間的表現」であると理解していた。この形而上学的な世界観の中で、作者はシンプルさという難しい芸術を実践したのである。英仏バイリンガル版。