THE JAPANESE HOUSE SINCE 1945 by Naomi Pollock
アメリカ人建築家でありジャーナリスト、作家のナオミ・ポロック(Naomi Pollock)著作の、日本の住宅建築をまとめた一冊。日本建築史に名を刻む建築家たちが1945年から現在までの間に設計した住宅を網羅した、究極の決定版ともいえる建築作品集。序文は建築家の安藤忠雄によるもの。
中庭がキッチンと寝室を隔てているテラスハウスを想像してみてほしい。部屋をひとつひとつ積み重ねられてできた小さな三角形の塔はどうだろう。奇抜で、実験的で、まったくもって魅力的な、第二次世界大戦後の日本で生み出された住宅の数々は、世界で最も特別なものに数えられる。本書は、建築家たちが設計した最も魅力的な日本の家をまとめた年表であり、そこには約80年にわたる形、素材、建築表現、そして家族の暮らしの発展が示されている。
コンセプチュアルな純粋さにおいて世界でも他に類を見ない日本の住宅の多くは、国内外でアイコン的存在となっている。本書では、97の住宅を9つの章に分け、年代別に構成し、明確に開設された文章とともに説得力ある写真や図面を収録。個々の住宅を紹介するだけでなく、これらの時代を象徴する住宅の背景にある社会的、技術的、地理的、歴史的な要因にも光を当てる。
さらに、モノクロからカラーへ、手描きからデジタルへと進化するビジュアルによって、時代を経ることでの発展が強調されている。各年代の導入部では、各章の歴史的背景を示し、項目の合間に挟まれている「Spotlight」は、屋根などをはじめとした日本の住宅の様々な構成要素を紹介し、読者の関心を引き付ける。建築家やその家族によって書かれたコラム「At Home」からは、これらのユニークな住宅での生活体験が生き生きと伝わってくる。