BLACK PHOENIX: THIRD WORLD PERSPECTIVES ON CONTEMPORARY ART AND CULTURE

英国においてブラックアート運動の道を切り開いた、ディアスポラと植民地史をテーマ据えた70年代後半の雑誌『Black Phoenix』を複製・編集し直した再版した1冊。全3号を一つにまとめている。

1978年から1979年にかけて3回刊行された『Black Phoenix: Journal of Contemporary Art & Culture in the Third World』(第2号と第3号では、副題が『Third World Perspectives on Contemporary Art and Culture』に変更された)は、当時の重要な資料として位置づけられている。

1960年代の解放運動や、西欧の帝国主義と(新)植民地主義の解体を目指して社会的・政治的な連携と連帯を呼びかけた歴史的なアジア・アフリカ会議(バンドン会議)と三大陸人民連帯会議から10年以上経った1979年、マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)当選の前夜に、Black Phoenixは、解放的な芸術文化運動としての第三世界の形成を呼びかける声明を発表した。

英国を拠点とし国内外で活動したBlack Phoenixは、ディアスポラと植民地時代の歴史を、1970年代後半の英国で発展した反人種主義・反帝国主義意識の中心に位置づけた。このことは、英国においてその後10年にわたって人種、階級、ポストコロニアル理論に関する複雑で微妙な言説を生み出すことになる。

「Black Audio Film Collective」やカルチュラルスタディーズの理論家、スチュアート・ホール(Stuart Hall)などの文化活動家も参加して1982年に始まった英国のブラックアート運動の先駆けであるBlack Phoenixは、人種の二元論を超え、第三世界や西洋の植民地化された内陸部にも広がる黒人としてのあり方を提案した。

ラシード・アライーン(Rasheed Araaen)、マフムード・ジャマル(Mahmood Jamal)両編集長をはじめ、ガイ・ブレット(Guy Brett)、ケネス・クーツ=スミス(Kenneth Coutts-Smith)、アリエル・ドーフマン(Ariel Dorfman)、エドゥアルド・ガレアーノ(Eduardo Galeano)、N・キレレ(N. Kilele)、ババトゥンデ・ラワル(Babatunde Lawal)、デイヴィッド・メダラ(David Medalla)、アユブ・マリク(Ayyub Malik)、スシル・シリヴァルダナ(Susil Sirivardana)、クリス・ワンジャラ(Chris Wanjala)ら、美術評論家、学者、アーティスト、詩人、作家による寄稿を収録。

by Mahmood Jamal , Rasheed Araeen

REGULAR PRICE ¥5,280  (tax incl.)

softcover
108 pages
210 x 300 mm
black and white
limited edition of 2,500 copies
2022

published by PRIMARY INFORMATION