GUNS by Robbert & Frank, Frank & Robbert
ベルギーを拠点に活動するアーティストデュオ、ロバート・アンド・フランク/フランク・アンド・ロバート(Robbert & Frank, Frank & Robbert / F&R R&F)の作品集。はっきりとした現実を突きつけるリアルな一作。殺人に使われるハードウェアである銃とその社会的、政治的、経済的、そして性的な影響を見つめ、2014年に二人は400個もの木製の銃を手作りした。銃問題がテーマであることは明らかだが、それだけでなく兵器の生産と流通から我々の日常生活と社会的想像力における銃の存在感に至るまで、本プロジェクトは銃問題を多角的な視点から考察することを促す。メディアや映画界、そして我々が実際に暮らしている環境など世界の至るところに兵器が偏在していることを表現しているだけでなく、ここでは最近問題になっている「自作の武器」の問題についても、同様に検討している。『The Guns』はデザイナーのコーディ・ウィルソン(Cody Wilson)が世界初の「3Dプリント銃」を製造したのと時を同じくして始まった。この銃は現在、ロンドンのV&Aに収蔵されている。2014年のニューヨーク・タイムズ紙の記事では、教育のオープンソース化がいかにして遠く離れた国の過激派がアルカイダに自作の武器で小規模な自爆テロを行う道を開いたかが示されている。発展途上国に住む過激派の子どもたちが、廃品置き場で屑鉄を拾ってきては苦も無く銃を作っていることも忘れてはならない事実である。しかし、一部の人にとって銃は、我々が思っている以上に身近なものである。銃を持っていれば安心だと思う人は多く、アメリカ人の家庭では何千という銃が枕元に隠されている。アメリカの子どもたちは、カウボーイ対インディアンの人種差別的なごっこ遊びの中で生まれて初めて人間の不平等や階級差を演じるものだが、銃はこれに欠かせない小道具である。銃は家父長制の象徴でもある。真っすぐで固い銃は、いつでも発砲できるように、相手の肉体にぶしつけに照準を合わせる。銃とは抑圧とコントロールのための道具、警察国家の残忍性と支配の手段である。
「F&R R&Fは、どうして無害な木製の銃の制作に1カ月もの時間を費やしたのだろうか。その答えはとてもシンプルだ。国防長官を歴任したラムズフェルドは『弱さは挑発的である』と発言したことで知られている。『弱さは人を誘惑し、普段なら絶対にしないようなことをさせる。』弱い人間は、自分自身の弱さに支配されてしまう。脆弱性とユーモアを武器に、作者は嬉々としてこのゲームに挑む。彼らは少しひねりを加えて、さっさとゲームを終わらせる。」
―ローラ・ハーマン(Laura Hermann)