INDIVIDUAL METHODOLOGY by Harald Szeemann

戦後ヨーロッパを代表するスイス人キュレーターであり、アーティスト、美術史家であるハラルド・ゼーマン(Harald Szeemann)の作品集。作者は1960年代以降、展覧会におけるキュレーションの発展において重要な役割を果たしてきた「エキシビション・メーカー」である。本書は伝記でもなければ、手がけたプロジェクトの選集でもなく、そのキュレーションの方法論に光を当てている。

現代的な展覧会に対する我々の考え方は、世界各国を飛び回り国際的なキュレーターの第一人者である作者の恩恵を受けている部分が大きい。1961年から1969年にかけては「クンストハレ・ベルン(Kunsthalle Bern)」のキュレーターを務め、1968年にはクリストとジャンヌ・クロード(Christo and Jeanne-Claude)に美術館の建物全体を梱包する機会を与えるという先見の明をもって展開の決定を下した。1969年に同館で開催された、作者が手がけた革新的な展覧会「When Attitudes Become Form」では、ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)エヴァ・ヘッセ(Eva Hesse)リチャード・セラ(Richard Serra)ローレンス・ウェイナー(Lawrence Weiner)といったアーティストをヨーロッパのオーディエンスに紹介すると同時に、現在では当たり前となっている、ひとつのテーマを中心に展覧会をキュレーションするという手法を導入した。2005年に作者が逝去して以降、スイスのティチーノにある作者のアーカイブでは研究が進められてきた。本書は、極めて貴重な資料として、世に出ることのなかった企画や記録、写真をアーカイブから厳選し、美術評論家のハル・フォスター(Hal Foster)と美術史家でキュレーターのジャン=マルク・ポワンソ(Jean-Marc Poinsot)による重要なエッセイを収録。「チューリッヒ美術館(Kunsthauz Zurich)」のキュレーターを務め、幾年にわたり作者と共に研究を行ってきたトビア・ベッツォラ(Tobia Bezzola)のインタビューも収め、考察を助ける資料となっている。また、ケース・スタディとして、1972年の「ドクメンタ 5(1972 DOCUMENTA 5)」、そして1997年の「第4回リヨン現代美術ビエンナーレ(4th Lyon Biennial)」という、作者による最も野心的な展覧会の2例にスポットを当てた。バイオグラフィー、ならびに作者が手がけた展覧会の図版入り年表、テキストの選集をもって、この余すことのない概観はしめくくられている。

キュレーターのフローレンス・デリュー(Florence Derieux)が編集を、ハル・フォスター、ジャン=マルク・ポワンソ、トビア・ベッツォラと作者がテキストを手がける。

by Harald Szeemann

REGULAR PRICE ¥4,950  (tax incl.)

softcover
248 pages
160 x 230 mm
black and white
2008

published by JRP|EDITIONS