フランス人画家、クロード・モネ（Claude Monet）の作品集。作者の主要作品群をフルカラーで美しく印刷し、蛇腹状の製本でその魅力をふんだんに見せている。あわせて、各絵画作品の背景と解説を掲載した別冊のブックレットも付属し、メインの書籍と共に丈夫に作られたスリップケースに納められている。

本書は作者が描いた「自然」に書籍という形で強烈なまでの生命力を吹き込んでおり、印象派作品のファンであれば魅了されるであろう形に仕上がっている。作品は年代順で構成されており、長くも実り多きその作家人生の功績をじっくりと鑑賞することができる。自然の美しさ、色彩、光は作者にとって飽くなき探求の対象であり、「自分自身の感覚にとって真実であること」という本質は不可欠なものであり、生涯見失うことはなかった。初期の忠実に描写された風景画から、ジヴェルニーの睡蓮をジェスチュラルに描いた最後期のシリーズまで、本書ではその創作性の進化を追い、その発展を理解することができる。また、海辺やセーヌ川、庭、季節の移り変わりなど、作者の作品の主題となったモチーフを論じるとともに、その技法も考察。筆づかいによる光と色の分解、大気の変化をより良く描くために用いた「反復」や「シリーズ」、段階的に形を崩していく技法などにより、作者が抽象画の先駆者としてみなされるようになった様を読み取ることができる。作品そのものに込められた美しい芸術性と不朽の伝統を書籍という形式で表現した、見応えのある一冊。