ロサンゼルスを拠点に活動するアメリカ人アーティスト、サラ・ケイン（Sarah Cain）の作品集。色彩豊かな抽象画をヴィンテージの楽譜の上に直接描いたシリーズ作をまとめたものであり、64ページで構成された実物を忠実に刊行物として再現する形で制作されている。

オリジナルの楽譜集はスイスで見つけたものであり、以前の持ち主が元々記していた手書きのメモと作者のペインティング作品は、衝突しながらも呼応し合っている。本作は、作者のインスタレーション作品や、大型の絵画制作を調和させる存在である紙上作品を拡張したものである。親密さを感じさせる、瞑想的かつ緻密で小さな作品群である。

作者は2008年より本作に取り組み始め、3つのスタジオでの制作を経ている。「まるで日記のように、開いたり、始めたり、閉じたり、閉まったりすることができる時間の日々の記録なのです。」