NICOLA L.: LIFE AND ART by Nicola L.

もし私がすべてを書き、すべてを探し、見つけるとしたら、それは何が起こったかを理解しようとするためかもしれない。すべては最終的に結びついている。アートと生活、子供、愛、誤り、喜び、希望」―ニコラ・L

モロッコ生まれのフランス人アーティスト、ニコラ・L(Nicola L.)による作品集。本書は、作者の先駆的な活動を初めて包括的に紹介する一冊。作者は、アイデンティティ、ジェンダー、身体に対して問いを持つことが一般化されるより以前からそのような考えに挑戦し、幅広く分類が不可能な作品群を発表してきた。モロッコでフランス人の両親のもとに生まれた作者は、パリの芸術アカデミーに通いながらも、1965年にほとんどの絵画作品を焼却し、衣装として着られる壁掛けキャンバス、腰掛けにもなる彫刻、一度に多くの人が着られるようにデザインされたコート、過激な政治家の映画を制作するなど、より人々に直接関わる形式へと移行した。地中海西部に位置するイビサ島の自由奔放なコミュニティ、ニューヨークのカウンターカルチャー、そして一時はレバノンの刑務所にまで、物理的にも芸術的にも居場所を見つけ、時代と場所に定着せず、世界中を旅して回った。

作者の作る芸術は、自身の人生から生まれたものであり、両者の間に境界線はない。本書も同じ論理に沿って、304ページにわたり、作者の作品を包括的にまとめたカタログレゾネと、未公開の手記を集めたファンジンが絡み合うような構成となっている。その手記の中では、フランス人哲学者のジャン・ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)、スペイン人画家のサルバドール・ダリ(Salvador Dali)、イヴ・クライン(Yves Klein)フランス人アーティストのニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle)、ブラジル人作曲家のカエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)、アメリカ人アーティストのアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)、アメリカのパンク・バンド「バッド・ブレインズ(Bad Brains)」、アメリカ人アーティストのカロリー・シュニーマン(Carolee Schneeman)の逸話を差し挟みながら、驚くべき人生が語られている。

本書は、作者の文章に加え、二人の息子クリストフとデイヴィッド・ランゼンベルグ(Christophe and David Lanzenberg)、長年の友人である、アメリカ人作家のゲイリー・インディアナ(Gary Indiana)とアルゼンチン人アーティストのマルタ・ミヌヒン(Marta Minujín)、フランス人批評家であり作者の師であるピエール・レスタニー(Pierre Restany)、作者が1982年に制作したドキュメンタリーの題材となっている、「バッドブレインズ」のヴォーカリストであるH.R、 そしてキュレーターのアレクサンドラ・カニンガム・キャメロン(Alexandra Cunningham Cameron)、フラヴィア・フリゲリ(Flavia Frigeri)、ルバ・カトリブ(Ruba Katrib)、 ミリアム・ベン・サラ(Myriam Ben Salah)など、作者を知る人々による個人的な話、そして作者の作品と繫りのある人々による解説が添えられている。編集はハンナ・マーティン(Hannah Martin)とオマール・ソーサ(Omar Sosa)が手がけており、ロンドンのギャラリー「Alison Jacques(アリソン・ジャック)」、ニコラ L.コレクション&アーカイブ(Nicola L. Collection and Archive)」の協力のもと本書は制作された。作品の図版、アーカイブ写真、エッセイ、インタビュー、日記などを収録しており、作者のパズルのピースをすべて集めた一冊となっている。

by Nicola L.

REGULAR PRICE ¥12,650  (tax incl.)

hardcover
304 pages
220 x 290 mm
color
2023

published by APARTAMENTO