THE FARM AT BLACK MOUNTAIN COLLEGE by David Silver
アメリカを拠点に活動する環境学専門家であるデヴィッド・シルヴァー(David Silver)の作品集。「ブラック・マウンテン・カレッジ(Black Mountain College)」の農場の発展と衰退を記録した一冊であり、2024年9月から2025年3月までノースカロライナ州の「ブラック・マウンテン・カレッジ美術館+アート・センター(Black Mountain College Museum + Arts Center)」で開催された展覧会に伴い刊行された。
「ブラック・マウンテン・カレッジ」は、20世紀における創造的な異端児の卵が溢れる「源泉」であった。1933年の創立以来、23年の輝かしい歴史の中で、ノースカロライナの片田舎にあるこの小さなリベラル・アーツ・スクールは、アニ・アルバース(Anni Albers)、ヨゼフ・アルバース(Josef Albers)、ルース・アサワ(Ruth Asawa)、ジョン・ケージ(John Cage)、マース・カニングハム(Merce Cunningham)、ウィレム・デ・クーニング(Willem de Kooning)、バックミンスター・フラー(Buckminster Fuller)、レイ・ジョンソン(Ray Johnson)、チャールズ・オルソン(Charles Olson)、M. C. リチャーズ(M. C. Richards)など、著名なアーティストやのちに有名になった作家、先見の明ある人々を惹きつけ、その活躍はこれまで何度も語り継がれてきた。
本作は、「ブラック・マウンテン・カレッジ」を全く異なる視点で探る。農場は、この場所にとって不可欠であった。大恐慌と第二次世界大戦の間に極めて重要な糧を提供し、自給自足、集団生活、共同作業の実験場として機能した。しかしそれこそが、最も貴重かつ不安定な要素であった。1930年代に学内農場を設立し、1940年代にはより良い農場を作り、そして1950年代にそのすべてが崩壊するのを見届けるまで、反逆的な学生、教授陣、農民たちの姿を、綿密な独自の調査を元に追う。これまでほとんど描かれることのなかった「ブラック・マウンテン・カレッジ」の新たなキャストたちに出会い、掘り下げ、彼らの農業における冒険を通じ、楽観的なコミュニティ形成から本質が朽ちて様々な不足に陥るまで、数十年にわたりそこで一体何が起きたのかを明らかにする。
本書を読むことで我々は、この場所の神話と驚くべき現実の中で「ブラック・マウンテン・カレッジ」の形成に貢献した、この土地において努力を重ねた素晴らしい人々に出会うだろう。