TREASURE ISLAND by Daniel Boyd

オーストラリア人アーティスト、ダニエル・ボイド(Daniel Boyd)の作品集。本書は、2022年6月から2023年1月まで「ニューサウスウェールズ州立美術館(Art Gallery of New South Wales)」で開催された展覧会に伴い刊行された一冊であり、本展は作者にとってオーストラリアの公的施設で初めて開催された大規模個展となる。20年近いキャリアの中で制作された作品群に加え、新作や空間設計も手がけたコミッションワークも含む100点以上が収録されている。

オーストラリアで最も高く評価されている若手作家の一人であり、オーストラリアの植民地時代を多様なアプローチで深堀するその活動は世界的にも知られている。その作品は、何層にも重ねられた科学、宗教、美学が交錯する言説に基づき、政治的、文化的、そして個人的に紡がれる記憶を通して、その複雑さを露にしている。アボリジニとバヌアツ両方の伝統を受け継ぐ者の立場で、作者はより広義の西洋美術史の対照として、その文化的ないし視覚的な遺産を辿っている。

アーカイブ画像や美術史の文脈、自身の家族写真を用い、構図を一部不鮮明にする独特な絵画技法で再構成し、作者は、鑑賞者に公から隠されてきた歴史との対峙を強いている。最近の作品は、ゲシュタルト心理学、プラトンによる「洞窟の比喩」、暗黒物質(ダーク・マター)、ネッカーの立方体から着想を得たものである。

本書は作者の植民地の歴史に対して抱く眼差しを紐解き、多種多様な物語を探求すると共に、先住民族による抵抗の一例として黒人の在り方を問う。そして、コミュニティやコネクティビティ、文化的回帰の概念にまつわる批評的な対話が殊に緊急性を帯びる現在において、そこに対し思慮深く、示唆に富む応えをもたらしている。

展覧会のキュレーターや先住民の作家陣によって書き下ろされたテキストを含め、本書では作者の制作活動に対する批評的な洞察とあわせ、作品に対するクリエイティブで実験的な見解が述べられている。

イゾベル・パーカー・フィリップ(Isobel Parker Philip)とエリン・ヴィンク(Erin Vink)が編集を勤め、ダニエル・ブラウニング(Daniel Browning)、レウリ・エシュラギ(Léuli Eshrāghi)、イゾベル・パーカー・フィリップ、マイケル・モスマン(Michael Mossman)、ネイサン・ムディイ・センタンス(Nathan ‘mudyi’ Sentance)、エリン・ヴィンクが執筆したエッセイと、ジャズ・モニー(Jazz Money)とエレン・ファン・ニーヴェン(Ellen van Neerven)の詩を収録。

by Daniel Boyd

REGULAR PRICE ¥9,900  (tax incl.)

hardcover
240 pages
210 x 275 mm
color
2022

published by ART GALLERY OF NEW SOUTH WHALES