フランス人イラストレーター、画家、作家であるジャン・フィリップ・デローム（Jean-Philippe Delhomme）の作品集。鋭いウィットと洞察に富んだジョークやイラストを描く作者は、観察力に優れ、現代文化に対し愛情に満ちた批評家であるといえる。本書は、現代アートの巨匠が私たちと同じようにソーシャルメディア「インスタグラム」に熱中していたならば何を投稿したであろうかを想像した1冊。

自動車メーカーとコラボレーションをし、ジョルジュ・ブラック（Georges Braque）とフォロワー数を比べるパブロ・ピカソ（Pablo Picasso）。イケアのキッチンを塗るピエト・モンドリアン（Piet Mondrian）。ポリネシアでエキゾチックなヌードを撮った旅行写真の投稿にハッシュタグ「#FOMO」を付けるポール・ゴーギャン（Paul Gauguin）など、その投稿は大変面白い。ヨーゼフ・ボイス（Joseph Beuys）からアンディ・ウォーホル（Andy Warhol）まで、名の知られた現代アーティストが勢揃いする。

本書は、視覚文化における「インスタグラム」の影響を初めて取り上げたアートブックの一つである。しかし、本書はただハイカルチャーとみんなのお気に入りのプラットフォームを組み合わせただけではない。これは、ハッシュタグを通じて学ぶことができる現代美術史である。