ベルリンを拠点に活動する、アメリカ人建築家のフランク・バーコウ（Frank Barkow）とドイツ人建築家レジーナ・ライビンガー（Regine Leibinger）が主宰する建築設計事務所「Barkow Leibinger」の作品集。本書は、2022年にベルリンのアートセンター「Haus am Waldsee」にて開催された同名の回顧展 に伴い刊行された。2013年出版の「Bricoleur Bricolage」、2009年出版の「An Atlas of Fabrication」に続く、作者らによる「atlas」シリーズの第3作目となる。このシリーズの他のタイトル同様、本書は取扱説明書のような形式で構成されている。プロセスに重点を置きながら、作者らが取り組んでいる素材にまつわる実験や研究に焦点を当てている。プロジェクトを年代順に羅列するのではなく、束、鋳造、地形学、リミナル・ファサード（※註）、微細構造、骨組みという6つの領域から調査を選び出し掲載している。2014年から2021年にかけて制作されたこの作品集は、新たに開発される技術や物質性に呼応し、想像力と実験によってそれをどのように利用していくかという、進化を続ける学問分野としての「建築」に対する作者の継続的な取り組みを示している。

※註 人間をある場所から別の場所へ運ぶために設けられた人工的建造物を意味する「ルミナル・スペース」を生み出す機能を持ったファサード構造