キューバ生まれの家具、インテリアデザイナーであるクララ・ポーセット（Clara Porset）の作品集。「ニューヨーク近代美術館（MoMA）」に収蔵された作者の椅子「BUTAQUE」にまつわる一冊である。

キューバの北岸に位置するマタンサス州に生まれながらメキシコで生涯の長い時間を過ごし、デザイナー、作家、活動家、教師として長いキャリアを費やしたが、作者は専門職につく女性の成長の機会がほとんどなかった時代にも辛抱強く耐え、社会的な慣例に挑んでいた。

本書は「MoMA One on One」シリーズの一冊であり、キュレーター、美術研究者であるアナ・エレナ・マレット（Ana Elena Mallet）が、ラテンアメリカ全土でよく見られる伝統的なロー・スラング・チェアである「BUTAQUE」に対する作者の解釈を探る。明らかに現代的でありながら古代文化に根ざした作者の「BUTAQUE」は、一つの品のデザインがいかにして様々な文化や地域のアイデンティティ、交差する歴史を伝えていくことができるのかを証明している。