SUMAYYA VALLY, COUNTERSPACE: SERPENTINE PAVILION 2021 by Sumayya Vally, Counterspace
ヨハネスブルグを拠点にスマヤ・ヴァリー(Sumayya Vally)、アミナ・カスカル(Amina Kaskar)、サラ・デヴィリアス(Sarah de Villiers)が共同主宰する「カウンタースペース(Counterspace)」の作品集。3人が2015年に設立した「カウンタースペース」は、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーの2021年の夏季限定パビリオンの設計者として選出され、ヴァリーがディレクターを務めた。
本プログラムは2021年で第20回を迎え、ヴァリーはその制作をした中で最年少の建築家となる。
オーストリア人アーティストであり、キュレーター、またアートやデザイン、建築における歴史や理論分野で教鞭を執るジョセフ・コールマイアー(Joseph Kohlmaier)による鮮やかなイラストとデザインで構成された本書は、シフォカジ・ジョナス(Siphokazi Jonas)、レスリー・ロッコ(Lesley Lokko)、コーティア・ニューランド(Courttia Newland)、エイン・ベイリー(Ain Bailey)やイマニ・ロビンソン(Imani Robinson)などのアーティスト、詩人、著者による寄稿が収録されており、他にもヴァリーとガーナ人建築家のデイヴィッド・アジャイ(Sir David Adjaye OBE)による対談や、当プロジェクトのキュレーターであるナタリア・グラボウスカ(Natalia Grabowska)とサーペンタインのアート・ディレクターであるハンス・ウルリッヒ・オブリスト(Hans Ulrich Obrist)によるインタビューも掲載。
本パビリオンのデザインが表現を試みたテーマを受けて、ジョナスは詩を、ニューランドはロンドンを舞台にした短編「
The Gold that Built the City」を、ロッコは建築家との友情を通して見てきたヴァリーの活動についてのエッセイを寄せている。本書は、他にもベイリーの音響コミッション「ATLANTIC RAILTON」に対してロビンソンが書いた叙情詩の抜粋も含まれる。また、ヴァリー、アジャイ、グラボウスカとオブリストの対談も掲載。アーカイブのリサーチ画像からデザインの過程が垣間見え、このパビリオンの設計の根底にある歴史と場所の存在が感じられる一冊に仕上がっている。