LATE PAINTINGS by Giorgio Morandi
イタリア人画家、ジョルジョ・モランディ(Giorgio Morandi)の作品集。2015年にニューヨークのギャラリー「David Zwirner」で開催された展覧会に伴い刊行された。20世紀を代表する画家である作者の作品は、今もなお世界中の人々に神秘的な力を与え続けている。本書は、1948年から1964年にかけて制作された晩年の絵画に焦点を当てている。この時期、作者は連続的、還元的、順列的なフォルムと構成の探求を試みて、洗練させ、これらの作品群は、20世紀の美術と絵画に多大な影響を与えた。本書は、1998年にヴェネチアの美術館「ペギー・グッゲンハイム・コレクション(Peggy Guggenheim Collection)」で開催された歴史的とも言える展覧会で大きく取り上げられた、1952年に制作された象徴的な「黄色い布」の10点の絵画のうち5点と晩年の作品が収録されている。また図版は、その作品に抽象的な力を与える独特の遠近法、色彩に視線を向けている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、この頃の絵画作品は「知性に訴えると同時に熱狂的かつ明快な完璧さ」を象徴している。この晩年に制作された絵画作品は、2008年にニューヨークの「メトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art, New York)」で開催された回顧展以来、米国では初めて公開された。
イタリア人美術史家、キュレーターであるローラ・マッティオーリ(Laura Mattioli)によるエッセイや本展の主催者であるデイヴィッド・リーバー(David Leiber)による序文に加えて、アメリカ人コンセプチュアルアーティストのジョン・バルデッサリ(John Baldessari)、アメリカ人絵画家のローレンス・キャロル(Lawrence Carroll)、ラトビア系アメリカ人アーティストのヴィヤ・セルミンス(Vija Celmins)、アメリカ人絵画家のマーク・グリーンウォルド(Mark Greenwold)、中国人アーティストのリウ・イェ(Liu Ye)、アメリカ人絵画家のウェイン・ティーボー(Wayne Thiebauld)、アメリカ人絵画家のアレクシ・ワース(Alexi Worth)、中国人アーティストのゾン・ファンジ(Zeng Fanzhi)などのアーティストによる寄稿では、作者の作品、また本展の個人的な感想をそれぞれ書き下ろしている。様々な媒体を駆使し、分野横断的な活動をする多彩な寄稿者たちは、作者の絵画が現代アートに与えた影響の大きさの証である。