WEAVING AT BLACK MOUNTAIN COLLEGE by Anni Albers, Trude Guermonprez
20世紀を代表するドイツ人テキスタイルアーティストであり版画家のアニ・アルバース(Anni Albers)、ドイツ生まれのアメリカ人テキスタイルアーティストのトルーディ・ゲルモンプレズ(Trude Guermonprez)とその生徒たちによる作品集。伝説的な「ブラック・マウンテン・カレッジ(Black Mountain College)」における織物の役割と遺産を詳細に研究した一冊。
20世紀中頃、「ブラック・マウンテン・カレッジ」は数々のアーティストや建築家、ミュージシャンなど、目覚ましい人々を惹きつけた。しかし、アルバースやゲルモンプレズ、その他6名の教員によって教えられていた織物の講義はほとんど言及されたことがなく、たいていの場合、ただの工芸の授業としか扱われていないが、その実態は大きく異なっている。織物のカリキュラムは同校において最も洗練され、成功したデザイン課程だった。テキスタイルデザイナーのロア・カデン・リンデンフェルド(Lore Kadden Lindenfeld)やエルゼ・レーゲンシュタイナー(Else Regensteiner)といった専門家から、アーティストのレイ・ジョンソン(Ray Johnson)、ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg)、建築家のドン・ペイジ(Don Page)やクロード・ストーラー(Claude Stoller)などの他分野の学生まで、本校に所属した生徒のおよそ一割が織物の講義を少なくともひとつは受けていた。数多くの未公開の資料やアーカイブ写真をもとに、本書はあの伝説のアートとデザインのカリキュラムにおいて、予想以上にはるかに大きい役割を担った織物について明らかにするため、歴史を再編する。
本書では、その多くがこうした視点で取りあげられたことがない数十点ものオブジェを個人と公的の両方のコレクションから紹介する。「ブラック・マウンテン・カレッジ」の織り手たちによって構築されたネットワークや関係性、いかに本校の織物がより広範な論説における織物・工芸と繋がっているか、アルバースによって伝えられたバウハウスの影響などを探るエッセイ群を収録。また、現代に遺された「ブラック・マウンテン・カレッジ」の織物の遺産に共感し、応じた5人の現代アーティストによる作品も収めた。