ASSEMBLING A BLACK COUNTER CULTURE by DeForrest Brown, Jr.
アメリカ人作家、ミュージシャンであるデフォレスト・ブラウンJr.(DeForrest Brown Jr.)の作品集。本書は、テクノやハウス、エレクトロなどの関連する電子音楽についての歴史と批評的な分析を提供し、それらのジャンルが年月を経てどのようにブラック・アメリカの音楽感覚によって形成されてきたかを示している。
作者は、デトロイトの1980年代のテクノ・シーンを振り返り、「ベルヴィル・スリー(Belleville Three)」などの先駆的なグループに焦点を当て、その後、現代の国際的なクラブ・フロアの起源に飛び込んで、産業化された労働システムと文化の制作の間に重要なつながりを描き出している。その他にも、マッド・マイク・バンクス(Mad Mike Banks)とコーネリアス・ハリス(Cornelius Harris)率いるテクノユニット・レーベル「アンダーグラウンド・レジスタンス(Underground Resistance)」、テクノユニットの「ドレクシア(Drexciya)」、「サイボトロン(Cybotron)」や「モデル500(Model 500)」としても知られる、ホアン・アトキンス(Juan Atkins)、デリック・メイ(Derrick May)、ジェフ・ミルズ(Jeff Mills)、ロバート・フッド(Robert Hood)、ニール・オリヴィエラ(Neil Ollivierra)のソロ・プロジェクト「ザ・デトロイト・エスカレーター・カンパニー(Detroit Escalator Co.)」、「アーバン・トライブ(Urban Tribe)」として知られるDJ スティングレイ(DJ Stingray)、エディ・フォークス(Eddie Fowlkies)、ポピュレーション・ワン(Population One)としても知られるテレンス・ディクソン(Terrence Dixon)、カール・クレイグ(Carl Craig)などのミュージシャンが取り上げられている。
本書は、アメリカ人歴史学者、セオドア・ローザック(Theodore Roszak)の著書『カウンター・カルチャーの誕生(英題:Making of a Counter Culture)』、アフリカ系アメリカ人の自動車製造労働者であり政治活動家のジェームズ・ボッグス(James Boggs)の著作、そしてアルヴィン・トフラー(Alvin Toffler)の著書『第三の波(英題:Third Wave)』の「テクノ・レベルズ」への言及を通じて、作者は黒人の理論的視点からテクノが持つ独自の歴史に迫り、主流の音楽歴史記録における人種差別的で階級主義的な現状を回避し、転覆させようと試みる。その結果、「テクノを再びブラックに(make techno Black again)」という説得力ある主張が生まれた。