AN ART OF RESILIENCE: POPULAR ART FROM BRAZIL IN THE R.F. COLLECTION by Rolf Fehlbaum
「ヴィトラ(Vitra)」の名誉会長であるロルフ・フェルバウム(Rolf Fehlbaum)が収集した、ブラジルの大衆芸術品(ポピュラー・アート)を記録した作品集。
ブラジルは、世界で最も創造性溢れるなポピュラー・アートの発信地の一つである。ブラジルで最も歴史のある地域ペルナンブーコ州出身の伝説的とも言われる陶芸家メストレ・ヴィタリーノ(Mestre Vitalino)をはじめ、ペルナンブーコやジェキティニョーナ渓谷、ニテロイのアーティスト陣の作品を紹介することで、この素晴らしい民衆芸術に対する意識を高めてくれる一冊。
本書に収録された作品は、スイスの家具メーカー「ヴィトラ」の旗艦店であり、ヴィトラ・ホームコレクションの本拠地、スイス・ドイツの国境の町ヴァイル・アム・ラインの広大な敷地に建つ「ヴィトラ・キャンパス(Vitra Campus)」にあるポピュラー・カルチャー界から収集した特別なオブジェを展覧するギャラリー 「ヴンダーカマー(Wunderkammer / 「脅威の部屋」の意)」に並べられている。このコレクションは、ブラジルのポピュラー・アートの全容を示すというよりは、メストレ・ヴィタリーノや、ゼ・カボクロ(Zé Caboclo)、アドルトン(Adolton)、ウリセス(Ulisses)による最初の作品群によって形成された、特定の個人的な選定に基づいているものである。
ほとんどの作品は、生活のさまざまな側面を個別に扱っているものだが、ブラジルの伝統的なフォルクローレの祭「ブンバ・メウ・ボイ(Bumba Meu Boi )」の風景、「マラカトゥのカーニバル(Maracatu carnival)」の行列、20世紀に活動していた盗賊の首領ランピアォン(Lampião)とその妻マリア・ボニータ(Maria Bonita)周りのブラジル北東部で活動した盗賊「カンガセイロ(Cangaceiro)」の残虐なな襲撃、という3つのグループに分けられる。作品は、ブラジルの人類学者リカルド・リマ(Ricardo Lima)とグアシラ・ワルデック(Guacira Waldeck)のエッセイとともに読み解くことができる。