PHOTOGRAPHY'S NEOLIBERAL REALISM by Jörg Colberg
ドイツ人ライター、写真家、教育者であるヨーグ・コルバーグ(Jörg Colberg)のエッセイ集。世界的に高く評価されている写真家のアニー・リーボヴィッツ(Annie Leibovitz)、グレゴリー・クルードソン(Gregory Crewdson)、アンドレアス・グルスキー(Andreas Gursky)らは、当たり前すぎて誰も疑問視してこなかった信念や概念を写真で表現した。本作は、この3人のアーティストが、いかにして旧ソビエト連邦の社会主義的リアリズムに匹敵する資本主義的な作品を生み出してきたのかを探求した1冊。作者が述べる「新自由主義的リアズム」のイデオロギー的枠組みは、圧倒的な不平等や人種による格差をはじめとした数多くの問題を抱える資本主義という「経済システム」を確固たるものにしている。作者は、3者が描く「もので溢れんばかりの作品」を新たな視点で読み解く。そこに写るものにだけ目を向けていると、我々がヴィジュアルから読み取る意味の体系にこうしたイメージが及ぼす広範囲な影響が見過ごされてしまうのではないかと疑問を呈す。本書はイギリスの出版社「MACK」が刊行する、文化論者やキュレーター、アーティストが1つのテーマや作品、思考をテキストで掘り下げるシリーズ「DISCOURSE」の1冊として刊行されている。
by Jörg Colberg
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