韓国生まれのアーティスト、ス・ドホ（Do Ho Suh）の作品集。作者が、どのようにして立体作品を崇高とも言える平面作品に変換しているのかを明らかにする一冊。

1962年に韓国で生まれた彫刻家、インスタレーションアーティストである作者は、かつて暮らした家やスタジオなどを布を使って緻密に再現した実物大の作品で最も良く知られる。2009年にシンガポールの「STPI -クリエイティブワークショップ & ギャラリー」とコラボレーションをして以来、建築的空間を変換し再現する新しい手段として印刷と紙を使うようになった。糸を彫刻的な素材として使い、手漉きの紙に埋め込むという画期的な技術を用いて制作された「Thread Drawings」は、作者の重要な新境地を象徴している。「Gelatine Drawings」は、身の回りの立体的な構造、もの、2つの地点の中間にある空間などを捉え、1つの平面に落とし込み、折り畳みかつ移動可能な幻想的な作品を作り出すための技術的なアプローチから拡張したものである。

自分の周囲を取り巻く環境の詳細を明らかにし、記録するために、建築物の内部の空間や日用品をパステルで写し取ったフロッタージュに加え、エッチング、リソグラフ、サイアノタイプの作品も収録する一冊。