INSTRUMENTS INSIDE OUT by Rosa Barba
イタリア人アーティスト、ローザ・バルバ(Rosa Barba)による音楽作品。
ベルリンを拠点とする独立系出版社である「Ediciones Inauditas」と、同じくベルリンを拠点とする現代美術・言論活動の場として在る「Neuer Berlier Kunsverein (nbk)」とのコラボレーション・シリーズ「n.b.k. Records」の第2弾。同シリーズは様々なビジュアル・アーティストの作品をLPとして発表しており、それ自体が美術作品として作られている。
本作は、2021年8月から2022年1月にかけてベルリンの「新ナショナル・ギャラリー(Neue Nationalgalerie)」で開催された展覧会で記録された音を素材としている。自身の展覧会「In a Perpetual Now」において、ドイツ出身の建築家、ミース・ファン・デル・ローエ(Mies van der Rohe)が手がけるも実現に至らなかった「煉瓦造田園住宅案(Brick Country House project)」(1924年)の設計図を模した建築構造の上に、フィルムとプロジェクターを配置し、展覧会場のモダニズム空間を満たした。ギャラリーの周囲に線と面の迷路を作り出したこの金属製のフォルムは、フィルム、オブジェ、改造プロジェクター、スクリーンなど、すべての要素が最終的に相互に作用し合う多層的な音楽を作者が活性化させるための舞台となった。
この展覧会を記録した音は「Instruments Inside Out」と題され、作品だけでなく、会期中に稼働した機械のパフォーマンスやスペース内の配置のアーカイブも成す。本作は、作品構成全体に対して別の視点を与えることで、知覚の枠組みを音で再現する。展示された目に見える要素から来場者の注意をそらすことで、音の伝播がもたらす拡散効果をとらえ、音、物、声の交わりがもたらす戯れが作品として再構成されている。
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