アフリカ系アメリカ人アーティスト、フェイス・リングゴールド（Faith Ringgold）の作品集。1967年から1981年にかけての作者の代表的な芸術・社会活動とその歴史的背景についての詳細な解説、そして作者自身による各作品への解説を収録した1冊。本書は、年代順に構成されており、同時代の社会的、政治的、芸術的な問題に対する作者の根本にある芸術へのアプローチを辿る。各作品の図版、未発表作品やアーカイブ資料も収録している。

熱心な公民権活動家であり、フェミニストである作者は、1960年代から1970年代にかけて、「ブラック・アーツ・ムーブメント（BAM）」の中でその発信力を確立した。作者は、美術史や現代アートの深い知識と、政治活動を通じて影響力の高い作品を制作してきた。本書で紹介される絵画、切り紙作品、ポスター、コラージュ、テキスタイルアートなど、様々なメディアを駆使した作品は、新しい素材や形式を取り入れ、ラディカルな美学と言語を創造し、作品に妥協のない並外れた迫力を与えた、作者の明確な政治的作品を前景に据えたものである。