STUDY MAGAZINE VOLUME 08
ニューヨークを拠点に活動するフランス人編集者、作家、スタイリストのクリストファー・ニケ(Christopher Niquet)によるファッション&カルチャー誌。毎号一人のアーティスト、写真家、タレント、作家の意見や作品に焦点を当て紹介する。クリストファー・ニケは、これまでにカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)やクリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)、アンナ・モリナーリ(Anna Molinari)をはじめとしたデザイナーの舞台裏で働き、『ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)』誌の寄稿ライター、『エル・フランス(ELLE France)』誌のエディター、『セルフ・サービス(Self Service)』誌のスタイリストを務めた経験を持つ。
アートディレクションは「Rupert Smyth Studio」が手がける。ファッション、アート、本を愛する人たちのコレクターズアイテムとして毎号異なるデザインで企画されている。
第8号は、ファッション業界でそのキャリアを大きく変えることとなった、キャスティング・ディレクター、ドミニク・ヴィナント(Dominique Vinant)のアーカイブを掘り下げる。ヴィナントは1990年代後半、アン・ドゥムルメステール(Anne Demeulemeester)、マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)、マルティーヌ・シットボン(Martine Sitbon)、山本耀司(Yohji Yamamoto)といった前衛的なパリのデザイナーたちのために働き始め、伝統的な美の基準を再定義する上で極めて重要な役割を果たした。ヴィナントは、ユニークであることを讃え、コラボレーションしたデザイナー陣の先見的な美学と深く共鳴するような異才を放つ特徴と個性を持ったモデルを紹介した。
ヴィナントのキャスティング・アプローチは当時の脱構築主義的なファッション・ムーブメントに沿ったものであり、デザイナーは単に服を作るだけでなく、ファッションやアイデンティティ、美の基準を巡って社会的規範に挑んでいた。ヴィナントが集めたモデル達の 「キャビン」は、単に衣服を映し出すだけでなく、デザイナーのショーが描く物語の全てにおいてに不可欠な存在となり、その影響は視覚的なものであると同時に文化的なものでもあり、美の概念を拡げる一助となった。
本号には、キャスティング・ディレクターのレイチェル・チャンドラー(Rachel Chandler)によるヴィナントへのインタビュー、ファッション評論家であるアンジェロ・フラッカヴェント(Angelo Flaccavento)、『ドゥーブル(Double)』マガジン編集長のファブリス・パイヌー(Fabrice Paineau)、ソニ・サバ(Soni Saba)、ダン・ソーリー(Dan Sorley)によるエッセイを収録。
あわせて、アメリカ人フォトグラファーであり映画監督のブルース・ウェーバー(Bruce Weber)が撮影、ブライアン・モロイ(Brian Molloy)がスタイリングを担当した別冊も差し込まれており、1990年代後半のパリのランウェイにおける美学とキャスティング哲学を再考する。
コントリビューター:レイチェル・チャンドラー、アレクサンドラ・ゴーディエンコ(Alexandra Gordienko)、ブライアン・モロイ、田坂久都、ドミニク・ヴィナント、ブルース・ウェーバー、アンジェロ・フラッカヴェント、ファブリス・パイヌー、ソニ・サバ、ダン・ソーリー
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