アメリカ人アーティスト、リー・ロザーノ（Lee Lozano）の作品集。本書は、1967年から1970年までの作者によるノートをまとめた一冊。本書に収録されている3冊のノートには、作者の代表作である一連のテキスト作品や、11枚のパネルからなる傑作シリーズ 「Wave」の研究に基づく12点の習作を含む、絵画の制作に向けたドローイングを掲載している。

ドローイング、絵画、コンセプチュアルなアートワークなど、多様な作品を制作し謎に満ちた存在である作者は、多作でありながら、制作活動は1960年代初頭から1970年代初頭にかけてのニューヨーク時代に限られていた。1972年にアート界から去ることを決意するまで、作者はニューヨークのアートシーンにいた作家たちと積極的に交流していた。最近まで、その作品の多くは一般の人々がアクセスすることが困難だった。アート界をボイコットしてから亡くなるまでの30年間、作者は商業的なアート界に姿を見せることはなかったが、コンセプチュアル作品の制作は続けていた。

ノートのページには、作者の抽象絵画に関連するメモやスケッチ、そして 「Language Pieces」として知られるテキスト作品が収められている。ノートに書かれた作品からは、構造化されたシステムの中で生き、芸術を創造したいという作者の願望がうかがえる。作者は、ノートの個々のページをドローイングとみなし、それらを切り離して展示することもあった。25年前、これらのノートはコピーされており、その記録が本書の基盤となっている。

本書は、2018年に復刻版（第二版）として出版されたものであり、初版は2010年に「PRIMARY INFORMATION」より制作されている。