QUINCY by Carl Andre
アメリカ人彫刻家、詩人、ミニマリストであるカール・アンドレ(Carl Andre)の作品集。その彫刻家としての進化へ直接的な見識をもたらす一冊。1973年に「アディソン・アメリカ美術館(Addison Gallery of American Art)」で開催された個展の図録の代わりに、作者は商業カメラマンを雇い、自身の生まれ故郷であるマサチューセッツ州クインシーの風景を記録させた。本書に収録されたモノクロで荒涼とした写真群は、作者の作品の多くにインスピレーションを与えた景色や素材を写し出している。
1973年のインタビューにて、作者は「僕はマサチューセッツ州クインシーの生まれだ。あの町が僕を誇りに思っていようがいまいが、僕は、あの町を誇りに思う」と高らかに語った。
1973年の冬に撮影された、クインシーの雪をかぶった墓石や記念碑の写真群が本書には収められており、風刺のきいたカバー写真は、クインシーにあった「Andre」と刻まれた墓石である。造船所や鉄道線路、クレーン、花崗岩採石場など、クインシーの産業的で労働者階級的な側面や、森が多く、わびしい郊外の小川や泥道に焦点を当てている。本書は作者の作品においては珍しい一作であり、そのスカルプチャーの美学の原点を暗示するものである。
本書は、「PRIMARY INFORMATION」によって2014年に復刻されたものである。
EXHIBITION:
カール・アンドレ 彫刻と詩、その間
会期:2024年3月9日(土)- 6月30日(日)
休館日:月曜(ただし4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
時間: 9:30 - 17:00
開催場所:DIC川村記念美術館
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