QUITTING YOUR DAY JOB: CHAUNCEY HARE’S PHOTOGRAPHIC WORK by Chauncey Hare

アメリカ人写真家チャンシー・ヘア(Chauncey Hare)の作品集。本書は、作者に関する初の評伝である。

1977年の「ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York, MoMA) 」で開催された個展、1978年に「APERTURE」から刊行されたモノグラフ『Interior America』、3度の「グッゲンハイム・フェローシップ(Guggenheim Fellowships)」への選出など、作者は束の間にプロとして大きな成功を収めたが、それに見合った注目を浴びておらず、その並外れた人生に関する物語は未だ不明瞭なままでよく知られていない。この認知度の欠如は、プロとしての成功をおさめたその絶頂期においてさえ、作者が芸術界の商業的な領域を狂信的な程に毛嫌いしたことと大いに関係がある。

作者が美を否定した最も明白な宣言は、おそらく1985年にアーティストとしてのアイデンティティを放棄し、職場でのいじめ、虐待を専門とする臨床セラピストとしてのキャリアを追求するという究極の決断であった。実際、作者は1997年に専門書『Work Abuse: How to Recognize and Survive It』を刊行している。その後、作者は「カリフォルニア大学(University of California)」の「バンクロフト図書館(Bancroft Library)」に自身の全アーカイブを寄贈。その際、作者の作品を複製する場合には、それらが「多国籍企業とそのエリート層オーナーや経営者による労働者支配の拡大に抗議し、警告するために」制作されたという説明文をつける、という規定を定めている。

本書は、作者のキャリアを特徴付けた芸術と政治の間の扱いにくい複雑な関係性を考察している。ほとんど人々の目に触れることの無かったアーカイブ資料、新たなインタビューや見事な写真作品を、作者が出版した3冊の写真集のために書いた、冗長で時にばかばかしい程陳腐な序文と併せて分析し、その人生と芸術を幅広く批評している。作者の作品が、企業が人々の日常生活へ侵出すること、ドキュメンタリー写真の長年にわたる政治との共犯関係がもたらす自由主義的な罪悪感、芸術とエリート層が振りかざす権力との煩わしい関係、といった現代における懸念と共鳴しつける方法を示唆している。

by Chauncey Hare

REGULAR PRICE ¥4,950  (tax incl.)

softcover
242 pages
140 x 228 mm
black and white
2022

published by MACK