USELESS BODIES? by Elmgreen & Dragset
ベルリンを拠点に活動するマイケル・エルムグリーン(Michael Elmgreen)とインガー・ドラッグセット(Inger Dragset)の二人からなるアーティストデュオ「エルムグリーン&ドラグセット(Elmgreen & Dragset)」の作品集。2022年3月から8月にかけてイタリア・ミラノの「プラダ財団(Fondazione Prada)」で開催された展覧会に伴い刊行された。本展並びに本書は、脱工業化時代において、身体がいかに日常的な体験の中心的存在でなくなっているかを探求している。この変化は、労働条件、健康、人間関係、情報の保持方法など、私たちの生活のあらゆる側面に影響を及ぼしている。この展覧会では、パンデミックをはじめ、二次元のイメージに基づく世界に私たちがどのように適応していくのか、その方法を探る。
「私たちの身体は、もはや私たちの存在の主体ではなくなりました。産業時代のように、私たちの社会での高度な生産方式において価値を生み出すことはないのです。私たちの身体は、利点よりもむしろ障害になってしまったとさえ言えるでしょう。19世紀では身体は日用品の生産者であったが、20世紀においては、身体は消費者の役割を果たすようになった。21世紀に入って20年、身体の地位は商品となりました。私たちのデータはビッグテックによって集められ、売られるようになったのです。ハイテク企業のデータ採取をめぐる公知の知識があまりに無意味であり、そうした企業が私たちの生活のあらゆる側面に進出する速度が急速に加速しているため、私たちの身体における将来の役割について考えるのは少し怖いと感じることもあります。」-エルムグリーン&ドラグセット
作者の彫刻作品やパフォーマンス作品の多くの側面をつなぎ根底にあるテーマは、身体に対する認識である。その活動を通じて、成長、親密さ、アイデンティティ、様々な生活様式、公共圏を動き回る方法といったテーマを探求している。本書は、オランダ人メディア理論家のヘアート・ロフィンク(Geert Lovink)、イタリア人作家、編集者、キュレーターのパオラ・アントネリ(Paola Antonelli)や、オランダ人建築家レム・コールハース(Rem Koolhaas)が寄稿したエッセイなども収録。