LUNAR INVASION by Francisco Sierra

スイスを拠点に活動するチリ人アーティスト、フランシスコ・シエラ(Francisco Sierra)の作品集。

本作は、絵や彫刻など多岐に渡る、幅広い作品群を紹介している。作者は、1枚の絵の制作に9ヶ月間費やした。高さ約1.5メートル、幅約2.5メートルの作品は、建造中のジャンボジェット機を描いている。作者は毎日、早朝から深夜まで、キャンバスを前に、立ったり、座ったり、しゃがんだりして制作し続けた。その行動は、自身の忍耐力や粘り強さ、そして被写体への信念を証明している。大きさは、小さいものもあれば中型のものもあり、3点組の絵も制作する。例えば、壮大な夕日、デリケートなティーカップセットや瞑想的なメビウスの帯などと、ジャンボジェット機以外の物体、飾りが吊り下がる陰茎形のクリスマスツリー、キスするアボカド、湯気が立つ排泄物の山といったものを曖昧に描く。そして、ヴァイオリニストとして稽古されたことが常に絵に響き渡っている。作者が描く対象は幻想的であり、日常的であるのだが、一見平凡な内容こそが絵を妙に不気味なものにしている。作者は現代の抽象絵画の行き先に焦点を当てており、物事や現実を忠実に正確に描くが、自身が選ぶ対象物は、一見そのように見えるものを表しているわけではなく、明確なものが新しく不可解なものへと変わってゆくことに関心を寄せている。シュルレアリスムやコンセプチュアル的なアプローチを通じて、現代写真の複写の落とし穴とペインティングにおける変容の可能性を探る。技術的な熟練度のほか、作品群に共通するものはユーモアである。時にグロテスクであり、時に控えめで、単なる痕跡であり、ホメオパシー的である。
― マックス・キューン(Max Küng)

by Francisco Sierra

REGULAR PRICE ¥11,220  (tax incl.)

hardcover
368 pages
235 x 290 mm
color
2021

FIRST EDITION

published by EDITION PATRICK FREY