ESKER by Gerry Johansson [SIGNED]
スウェーデン人フォトグラファー、ゲリー・ヨハンソン(Gerry Johansson)の作品集。本書はヴェネツィア建築大学(IUAV)の建築美術館とスウェーデンのアートギャラリー「Kulturcentrum Ronneby Konsthall」との共同プロジェクトに伴い刊行された。
本プロジェクトは一度2016年と2017年に完成し、「Kulturcentrum Ronneby Konsthall」で展示されている。撮影場所は古代のムードと現代の遺物とが共存し、作者にとってとても興味深いものであった。何年もかけてそこへ何度も戻り、多くの写真が撮られた。本作に収録されたものは2016年から2021年までの間に撮影されたもの。
「スウェーデンの南東部に位置する地方、ヨハニシュスには時間の隙間がある。そこのエスカー(※註)自体は1万6,000年前の最終氷河期の終わりに形成された。尾根に沿う多くの墓地は、牧歌的な風景や古いオークの木と相まって、なにか特殊な雰囲気を醸し出している。ここ数年の間、考古学的に発掘調査がなされたことにより、スウェーデン南部、ヨハニシュス荘園の北に位置するブレーキンゲのヴェストラ・ヴァンで大きな集落が発見された。約2,000年前に生まれ、11世紀まで繁栄していたその集落は、丘を囲むようにして在る。その頂上で、鉄器時代のものとされる驚くべき発見があった。銅製の大きな釜、武器、銀や金のコイン。中でも目立っていたのが、人の形が掘られたをした「guldgubbar」であった。女性や男性を模した描写は切手よりも小さく、この地で作られたものであった。」- ビョルン・ニルソン(考古学者 / 序文より)
※註 かつて氷河氷の下を流れ出た融解水によって運搬された砂や礫が堆積してできた、蛇行した堤防状の地形