MUMBLING BEAUTY: LOUISE BOURGEOIS by Alex Van Gelder
フランスを拠点に活動するヴィジュアルアーティスト、アレックス・ヴァン・ゲルダー(Alex Van Gelder)の作品集。フランス人アーティスト、ルイーズ・ブルジョワ(Louise Bourgeois)の晩年にあたる2008年から2010年の間を、妥協なく親密さをもって写したポートレイトが収録されている。ブルジョワは作者をプライベートな領域であるアトリエと自宅に招き入れ、作者のレンズに身を委ねながらも、制作し、休み、待ち、悪戯をし、あるいは思案に暮れ、飽き飽きし、荒れ、最後まで反抗的であった。ブルジョワは単にポーズを取るだけに留まらず、演じ、その存在感でカメラを満たしていた。ブルジョワは、作者にとって完全かつ不可欠なコラボレーターである。本作は、この上なく完成されたアーティストの深淵なる肖像であり、偉大なる年齢、時代を鋭く研究するものである。
ブルジョワの芸術は、自白的かつ心理的であり、獰猛でありながら繊細な情熱に満ちている。作者が描くブルジョワの肖像は、レンブラント的な深みと哀愁、そして狡猾なユーモアが見受けられるが、それは多くの意味でブルジョワから世界へのメッセージでもあり、いわばブルジョワが選んだ墓碑銘であり、その身振り、姿勢、表情によって彼女自身が走り書きして残した筆跡のようなものである。
100歳を間近に控えた当時のブルジョワは、弱々しく老衰しているにもかかわらず、その弱さをものともしないようである。彼女はカメラを無視し、しかし注意深く、疲れ果てていても意識し、カメラが自分に向けられていることを知っており、作者の目を通して考え、見ているのである。
キュレーターであり、ロンドンの「サーペンタイン・ギャラリー(Serpentine Galleries)」でアーティスティック・ディレクターを務めるハンス・ウルリッヒ・オブリスト(Hans Ulrich Obrist)による序文を収録。
EXHIBITION:
ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ
会期:2024年9月25日(木) - 2025年1月19日(日)
休館日:会期中無休
時間:10:00-22:00
場所:森美術館
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