ハンガリー人建築家、デザイナーであるマルセル・ブロイヤー（Marcel Breuer）の作品集。本書は作者の作品を最も包括的にまとめ、世界的にも高く評価される一冊であり、「バウハウス（BAUHAUS）」での活動初期からヴァルター・グロピウス（Walter Gropius）との協働、そしてアメリカでの自身の建築設計事務所の設立に至るまで、作者がヨーロッパとアメリカで設計したすべての住宅、家具、公共建築物を詳細に取り上げている。建築家であり作家でもあるロバート・マッカーター（Robert McCarter）が著し2016年に刊行された本書の初版は、「モダン・マスターの基準におけるブロイヤーの位置を改めて整える」（「タイムズ文芸付録（TLS）」誌）上で役立つ「本格的な研究」（「フィナンシャル・タイムズ（Financial Times）」紙）であると評された。

モダニズム建築家第一世代の最後の一人である作者の完全なモノグラフである本書は、作品の詳細な解説とともに、商業、住宅、家具、実現が成し得なかったプロジェクト、作者を象徴する家具（「ワシリーチェア（WASSILY CHAIR）」や「チェスカチェア（CESCA CHAIR）」など）や建築物（パリの「ユネスコ（UNESCO）」本部やニューヨークの「ホイットニー美術館（Whitney Museum）」など）の全てを収録し、建築作品だけでなくデザインについても詳細に考察した唯一の書籍である。2016年に刊行された同作を復刻したこの新版は、ニューヨークの「サザビーズ」本部の意匠をあしらった美しい表紙が採用されている。