FIELD GUIDE TO BIRDS OF THE WEST INDIES by Taryn Simon
アメリカ人ヴィジュアルアーティスト、タリン・サイモン(Taryn Simon)の作品集。本書は、同作者の『BIRDS OF THE WEST INDIES』(2013年刊)の続編となる。作者は、前作に続き、イギリス人作家であるイアン・フレミング(Ian Fleming)の『ジェームズ・ボンド(James Bond / 007)』シリーズを用いた。今回は、シリーズ24作品に登場する全ての鳥を撮影し、識別と分類を行った。鳥たちは演出として計画的に出現したものではなく、たまたま飛び込んできたどうでも良い背景のノイズのような存在である。
主人公の「ジェームズ・ボンド」という名称は、実在する鳥類学者の名からフレミングが取ったものであった。個人的な趣味として野鳥に親しんでいたフレミングはこの名を見つけ、「フラットでパッとしない」、「匿名的で...政府の手中にある鈍器」のようであり、この登場人物にふさわしい名前だと語っている。
本書における鳥類学的発見は、「ジェームズ・ボンド」の世界というフィクションの中だけの出来事でありながら、同時にその世界から完全に切り離されており、両者の境界にあたるところに存在しているようである。この331羽の鳥による分類法は、代替的な別の現実において新たに発見された自然を、入念に考察したものなのである。
by Taryn Simon
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