アメリカ人画家、エイミー・シェラルド（Amy Sherald）の作品集。本書は、アフリカ系アメリカ人の被写体をカラフルな単色や日常的なシーンを背景に描く、シンプルなリアリズム肖像画の独特なスタイルで高い評価を得ている作者の初の包括的なモノグラフである。作者は2018年、ワシントンD.C.の「ナショナル・ポートレート・ギャラリー（National Portrait Gallery）」のために、当時の前大統領夫人ミシェル・オバマ（Michelle Obama）の肖像画を描く画家として選ばれたことで一躍名声を得ている。これはアフリカ系アメリカ人の女性として初の栄誉でもあった。「ハウザー＆ワース ロンドン（Hauser & Wirth London）」で2022年秋に開催された個展に伴い出版された本書は、近作の複写に合わせて、初期のイラストレーションや作者の制作とプロセスが垣間見えるスタジオの写真シリーズが掲載されている。また、ジェニ・ソーキン（Jenni Sorkin）が寄稿した作品の美術史的な分析、文化研究者ケヴィン・クアシー（Kevin Quashie）による作者の肖像画の美学と政治に関する考察、また作家タナハシ・コーツ（Ta-Nehisi Coates）と作者との対談が新しく含まれている。