PRETTY HURTS (PRETTY HURTS) by Rosie Marks
ロンドンを拠点に活動するフォトグラファー、ロージー・マークス(Rosie Marks)の初作品集。
本書は、現代における美とグラマーの概念を探求しながら、流れるように組み合わされた11の写真シリーズからなるモザイク画のような作品である。作者は、被写体を彼ら自身の構築または再構築された世界のなかで自由に存在させることで、奇異と好奇といったテーマを中心に据えている。
第一章「
Russian Lips」は、身体改造により美しさを追求することができるという現代的な美意識の探求から始まります。この章では「ロシアン・リップス」と呼ばれる、唇を高くしたりハート形にするための技術「リップフィラー」を専門とするリヴァプール在住のエステティシャンが主役となっている。自宅の空き部屋で施術を行う彼女は、コミュニティにごくごく僅かな値段でインスタントに手に入れることのできるグラマーを提供している。作者は、被写体が各々の願望を叶えようとしている様々な世界へと我々を誘う。本書には、ロンドンからロサンゼルスまで、より優れた生活と美を追求するためならば代償もいとわない、あらゆる階層の人々との出会いが詰まっている。
最終章「
Hollywood Piano」では、過去、主にハリウッドの黄金時代に焦点を当て、その時代が私たちの心に及ぼし続けているノスタルジックな影響を探っている。カリフォルニア州サンタアナにある「ハリウッド・ピアノ」のグランドオープンで、ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンのそっくりさんが映画で使われたオリジナルの復元ピアノとともにポーズを取っている場面を記録している。ここでもまた、グラマーと美が特売で売りに出されている様が見て取れる。
本書は、ロンドンを拠点に活動するブルガリア人デザイナー、Kiko Kostadinov(キコ・コスタディノフ)と、日本のブランド「HYSTERIC GLAMOUR 」とのコラボレーションによるカプセルコレクションのリリースに伴い、作者がキャンペーン撮影と本書を手がけた。「KIKO KOSTADINOV」と「HYSTERIC GLAMOUR」による共同出版として刊行。
「
様々な作家の写真集出版を手掛けてきた HYSTERIC GLAMOUR に大いなるリスペクトを抱いています。アパレルを制作することだけでなく、写真集を共同出版することもまた非常に重要な意味合いを持っているのです。」- キコ・コスタディノフ