WALTER NIKKELS: DENKWERK by Walter Nikkels, Irma Boom [SIGNED / NUMBERED]
オランダ人タイポグラファー、グラフィックデザイナーであるウォルター・ニッケルズ(Walter Nikkels)の作品集。2024年9月から11月にかけて、オランダのギャラリー「EENWERK」で開催された展覧会に伴い刊行された。
本書は、タイポグラファーの巨匠である作者が、オランダの「アムステルダム市立美術館(Stedelijk Museum Amsterdam)」による企画のために制作したインビテーションと、その過程のスケッチを記録した一冊である。1,000ページにもおよぶこのボリュームは、同ジャンルでは他に類を見ない仕上がりとなっている。テキストはオランダ人美術史家のルディ・フックス(Rudi Fuchs)、同じくテキストと本書の制作をオランダ人グラフィックデザイナー、イルマ・ボーム(Irma Boom)が手がける。また、ボームがデザインを監修し製紙会社と共同開発した自身の名を冠する特殊紙「IBO One」が使用されている。オランダ語、英語併記。
タイポグラフィは、ページ上の文字やイメージの配置を決定づけ、視覚的なリズムを取り入れることである種の親しみを持つ。その親しみとは、読者が本を開くことであり、本は読者の目に映るために開かれる。タイポグラフィによって、文字や単語は隣り合い、また上や下に配置され、画像はその中で控えめな場所に置かれる。こうして、文字や単語、画像に相応しい在り方が、その意味の形を伝えている。タイポグラフィは言葉を見せる、というよりは、タイポグラフィが言葉を読めるように文字や単語、画像を近づけていると言うべきだろう。作者はその技術において熟達し、非常に注意深く素材を扱っている。ある冬に、イタリア、ポー渓谷へと旅に出た。早朝は霧が残り、やがて太陽が顔を出した。農場の寂しげな家々はフィルターがかったように散光の中にあった。日当たりが良い方の壁は鮮やかなピンク色であった。日陰側は日向側よりさほど暗くなく、ピンク色はほぼ同じ明るさであった。それでも、どちらの面もくっきりと際立っていた。このようなシンプルな正確さと繊細さが、作者のタイポグラフィの根本となる関係性をも特徴づけているのである。
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