ギリシャ人アーティストのヤニス・クネリス（Jannis Kounellis）の作品集。本書は、2016年にロンドンのギャラリー「ホワイト・キューブ・メイソンズヤード（White Cube Mason's Yard）」にて開催された展覧会に伴い刊行された。

作者による生前最後の書籍となった本書は、ごく初期の作品である「Alfabeto」シリーズに焦点を当て、紙を用いた作品と絵画作品を紹介している。本展は、作者による歴史的な作品群を最も深く掘り下げた展覧会の一つであり、初期の傑作を再考することを通じてその芸術家としての発展を振り返っている。

作者と協同で構想され記録された、互い違いに作品を配置したインスタレーションの写真、作品自体の写真、アーカイブ写真を掲載。それに加え、1967年に「アルテ・ポーヴェラ（Arte Povera / 貧しい芸術）」という言葉と理論を生み出し、またそれに関する多くの重要なテキストを執筆したイタリア人美術史家、批評家、キュレーターのジェルマーノ・チェラント（Germano Celant）がエッセイを寄稿している。また、「ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン（University College London / UCL）」で講師を務めるキュレーター、美術史家、学者のフラヴィア・フリゲリ（Flavia Frigeri）が、これらの作品群を生み出した特定の文化的、政治的背景や文脈を考察した書き下ろしエッセイを寄稿し、同じく洞察に満ちた手引書となっている。